真夜中。
辺りは街灯も少なく奇妙な静けさを感じる。
「毎回思うんだけどここ気味悪くねぇか?」
辺りを見回しながら隼人の友人 要がこちらを伺う。
要は体がデカい割には小心者で見栄っ張りところがある。
「恐いの?」と尋ねてみても、
「バカ言うな、こんな事でビビってたら夜の集会なんて来ねーよ!」
…顔色悪いのは恐いからじゃないのか?―\r
と思いながらもふと隼人は小さな公園に目をやる。
「あれ?誰かいる…」
誰だ?こんな時間に…
要は隼人の一言で背筋をピンと反らせ
「おい、さっさと帰ろうぜ」
「ごめん、要 先帰っててよ」
そう言い残すと隼人は、一人公園へと消えていった。
………まじかよ…
暗闇は数メートル先のものすら見えなくしてしまい、ただ隼人の歩く音と突然ごうごうと鳴り響く風しか聞こえなかった。
隼人が向かうとぽつんとベンチに座っている少女がいた。
隼人と同年代だろうか長い髪が風に揺れ、細く白い肌をした腕に絡みつくように見える。
しかし少女は顔をうつむいたままで隼人に気付く様子がない
ー何だろう…この気持ちは…ドキドキが止まらない…恋をしたわけでもないのにー
最初は距離を置いたところから見ていたが、何かに惹かれるように一歩また一歩と少女に近づく。
そのとき風にのって何かが香った。
とても今の気持ちを落ち着つかせるようないい香りで、しかし例えがないほど難しい匂い。
―彼女の香りだ―\r
隼人は確信した。
そして気合いを入れて声をかけてみた。
「そこで何してんの?」
少女はようやく顔を上げた。
一層香りが隼人の全身を包み込むような気がした。
「危ないんじゃないの?そこにいると」
「人を…待ってるの…」
少女は小さな声で隼人に話す。
「じゃあ待ってる間俺と一緒に話さない?暇でしょただ待ってるだけじゃ」
彼女は黙り込んたままだったが、お構いなしに隼人は隣に座ってしまう。
彼女は可愛いかった。自然と色気がでて、不思議と構ってあげたくなる様な人だ。
それも含めてさっきから感じるこの胸の違和感がまだとれずにいた。隼人はこの理由が知りたかった
この子の事が知りたい…
―続く―