◆呪い師◇2

さち  2005-11-24投稿
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◆律は朝食を食べ部屋の中を軽く片付けると昼食を持ち江戸の商店街へ出かける準備をする。絵師の東片砂南(ひがしがたさなん)の元へ仕事を手伝いに行くのだ。律は二つの遺影がたった台に手を合わせ何かを願うように目をつぶる。「父上、母上行ってきます。今日もわたしをお守りください…」父と母への挨拶をすませ律は出かけた。 ◇江戸の街の商店街は朝であっても賑やかで商人達の活気で溢れていた。「へいっ!らっしゃいらっしゃい!今日は大根とにんじんが安いよ〜!」 「どうだい?この布は。良い品だろ〜」 律はこの活気のある人々が集う場所が嫌いではなかった。思わず微笑んでしまう。律の職場は商店街の一番はじにある。商店街を歩いていく律は一つ気になっていたことがあった。「背後に誰かいる…」律は数日前から商店街でだれかにつけられているような感覚におそわれていた。律は少し立ち止まり後ろに振り向いてみる。とくに怪しい人物は見当たらなかった。「まぁ…人混みだしな。気のせいか…」律は気のせいと自分に言い聞かせた。むしろ気のせいであってほしいと思いながらまた歩きだす。しかしこの出来事は気のせいでは終らなかった…。 ◆律は職場につくと微笑みながら「おはようございます。」と挨拶した。「おはようごぜえます!律さん!」「おはよう!律。」律よりも早く来て絵を製作し始めている砂南の弟子達が元気良く律に挨拶する。「おう!律。」弟子達よりも一回り大きく威厳のある声で律に挨拶するのは律やこの弟子達の大先生東片砂南だった。「おはようございます。先生」「早速なんだがな今日、あの大物役者、一川夕陽楼を下絵しにいくからその準備をしてほしいんだ!大変になると思うが今日も頑張るぞ!」 「はい、先生!」 律はこんな穏やかな日々がずっと続けば良いと思っていた。しかしその願いは叶わぬ願いとなってしまったのだ。



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