イブの愛人2

エリクシェード  2006-07-31投稿
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幾千もの月日が流れた。東(あずま)の果ての国では、ある女性が強大な権力を握り、周辺の小国までも己の傘下に納めつつ、自国である『邪馬台国』の勢力を拡大しつつあった。人々はその統率者を女王『卑弥呼』と呼び、その類まれなる呪術、占星術の下にある時は敬い、またある時は怯えながら屈していた。しかし人々の大半は女王の御姿を見たことがなかった。宮廷の人間でさえ、その実態を見る者は上位の者に限られていた。ある時、卑弥呼は側近である男弟に、御国分割詔(みくにぶんかつのみことのり)を下し、国を複数に分割する計画を告げた。それは忌まわしき呪いの印(いん)を複数の欠片に分け、それぞれ分割した土地に封印する目的で下したものであった。一つは近畿地方の大和に、一つは九州北部に封印された。残りは九州大陸周辺の島々や、中国大陸の何処かに持ち運んだ。しかし、九州大陸の島々の一部が海面上昇や浸食に伴い、分割された邪馬台国と共に滅んでいった。国元を離れ、大陸に渡った欠片の所在は不明となった。その欠片の原形こそが、卑弥呼が魏の国王より授かった『金印』であった。卑弥呼は国内のあらゆる邪念をその印に封じ込めていたのだが、皮肉にも印の細分化に伴って邪念を封じ込める力が弱まり、各地で悟られぬまま覚醒していった。その悪しきもの達が織り成した幾多にも及ぶ物語が、時代や国境、思想を越えて語られ、ギヌーヴの願望へと結び付いてゆく…



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