ほんの小さな私事(96)

稲村コウ  2009-09-15投稿
閲覧数[371] 良い投票[0] 悪い投票[0]

「基本的には、まず、体内の気をコントロールして、その流れに、周囲にある気を集める。あとは、自分の思い描く気のながれを作ってやれば、様々な作用の気が出来上がるって感じ。…まあ、説明じゃわからないだろうから、まず、自分の中の気の流れを作るイメージをしてみるといい。そうするれば、今私がやったような事も出来るようになる。」
そう言われ、私は、昨日、弓道場でやった様に、目を閉じて、意識を集中させる。すると、自分の身体の中を、何かが流れるのを感じとる事ができ、身体中に、何かの力が増大していくのを感じた。
「うわ…、ちょ、ちょっと待った!ストップ、ストップ!」
そのなつきさんの声で、私は我に返った。目を開けるとやはり、昨日の様に、肌に光輝く何かが纏り付いているのに気付いた。
「昨日もこのような事ができたのですが…そのあと、急に力が抜けてしまって…。」
そう私が言ったところで、私はまた、昨日感じた様な脱力感に襲われた。
しかしながら、昨日よりはまだ、軽いもので、動きが取れなくなる程ではなかったが、纏わりついた光が宙に飛散していくに連れ、体から力が抜けていく感覚にとらわれた。
「…驚いた…。ここまで短時間で、膨大に気を集められるなんて…。いや…もしかしたら、この関係で、清音ねーさんは、お前さんに色々教え渋ってたのかも知れないね…。」
なつきさんは、吸っていたタバコの火を、灰皿に押し付けて消しながら、私をまじまじと眺めつつ、そう呟いた。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 稲村コウ 」さんの小説

もっと見る

学園物の新着小説

もっと見る

[PR]
アプリDLで稼ぐ!
“Point Income”


▲ページトップ