揺れはそれほどでもなかったが、地鳴りはしばらく続いた。
すると、2人の足元の雪が、ドボドボと音をたてて崩れ落ちた。
2人は慌てて、突き刺してあったポールにしがみつき、落ちるのを免れた。
そこには、直径2m程の穴が開いた。
中には、水が溜まっているらしく、今落ちた雪で、ユラユラと波立っているのが見えた。
野崎は、懐中電灯を取り出して、中を照らしてみた。
「や、矢口!あれは?」
矢口は、目を細めて、シゲシゲと覗いた。
「あっ!……。オヤジだ!」
矢口は、以外と冷静に答えた。
顔が確認できた訳ではない。
被っているヘルメットのマークと、作業服で、父親に間違いと確認した。
突き刺したポールが上がってきたのは、父親の胸の辺りにポールの先が当たり、一旦は沈んで、直ぐに浮かび上がってきたからだった。