その日から二週間―\r
淳の家から仕事に通った。少しでも、淳と過ごしたいと言う気持ちからだった。
仕事が終われば、淳の家に帰宅し、夕飯を作って淳の帰りを待った―\r
花火大会の前夜―\r
午後八時半、私は、淳より先に夕飯の買い物を済ませて、帰宅し、夕飯を作り掛けた。その時、淳から、携帯電話に着信が有った。
「はい・・・。あっちゃん?」
「うん、今から帰るわ。」
「そう、今、ご飯作っててね・・・。私も、さっき帰って来たばっかりなんだけど。」
「疲れてるんなら、無理すんなよ、飯、何でも良いからさ。」
「無理してないよ、楽しいの、料理って。」
「そうか?じゃあ、良いけどさ・・・。明日、花火大会だよな?」
「うん・・・、行けそう?」
「夜は、店は任せるって言って有るから、大丈夫だと思うよ。」
「そう・・・。私は仕事、六時迄にして貰ったから、間に合うよ。」
「解った。俺も合わせる様にするよ。じゃあな・・・。」
淳と電話を切り、私は、夕食の準備を進めた。
三十分後―\r
淳は、帰宅した。
「ただいま・・・。」
「おかえり・・・。ご飯、もうすぐ出来るから。」
「旨そうじゃん、ハンバーグ?腹減ってんだよな。昼飯、喰う時間無かったんだ。」
「ちゃんと食べなきゃ駄目だよ・・・。」
「忙しいんだって。喰いたいんだけど、時間取れなくてよ・・・。」
「明日から、お弁当作ってあげる・・・。だから、ちゃんと食べてよ?」
「弁当かぁ・・・。香里の弁当は旨いから、嬉しいよ。でも、しんどいだろ?お前も仕事だし、朝早ぇだろ?」
「良いの、私の分も作るから。大丈夫・・・。」
それから、淳と私が夕食に作ったハンバーグを食べた。
一緒に狭いお風呂に入り、淳のベットで一緒に眠った。
この家で、淳と過ごした最後の夜だった―\r
この時は、そうなるとも思わずに、幸せを噛み締め、一瞬一瞬を過ごしていた―\r
翌日・花火大会当日の朝、八時―\r
私は、淳と一緒に、仕事に行く為に、一緒に家を出た―\r
私は、いつも通り仕事に向かい、淳は、私が作ったお弁当を手に、車で出掛けた。
店に向かった筈の淳は、実は、店に行って居なかった。
後で、事実を知る事になるとは、夢にも思わなかった。
淳は、店には行かず、中川の勤務先に出向いていた。
その後、麗華に逢いに行く事になっていた。
麗華には、中川の事、全てを話すつもりで、逢う約束をしていたのだった―\r