『君たちがいるから、幸輔くんは、笑っていられると思う。』
この一言にどれだけ勇気づけられただろう。
優太は自分の役目、
『友達を助ける。』
という事を知るきっかけとなった言葉だった。
香山先生。…オレね、
幸輔を…いじめから守っていくって決めたんだ。
だから、心配しないでね。
だけど岩塚先生…
まさかこの人が来て、3年4組がどんどん変わっていくなんて…誰が思っていたのだろうか。
「おはようございます。」「……。」
生徒達は黙っていた。
3年4組。新しい担任の岩塚博。いかにも真面目そうな眼鏡をかけてる先生だった。
「えー、今日から新しい担任を務めさせて頂く、岩塚博です。」
岩塚先生。
教育委員会から『優秀教員』として認められている。…って香山先生が言ってたな。
でも、本当は違ってた。
放課後、幸輔は再びいじめられていた。いつもは香山先生に助けられていたが、もう今はいないんだ…。
幸輔は絶望せざるを得ない。
香山先生…なんでいなくなっちゃったの…。
教えてよ…
数日前。
「失礼します。」
教育委員会に呼ばれた香山は、深々とおじぎをして、椅子に座った。
「君が…香山くんか。」
「はい…」
さすがに教育委員会ともなると、ハゲてるおっさんが多いが、今はそんな事を考える余裕がない。
「えー、調査結果からよると、数人の生徒による体罰…ですか。」
「いえ…違うんです。それは…」
「理由などはいいんだ。体罰を与えた…その時点でもう、君は教員を辞めてもらう。」
「えっ…」
「生徒を殴った責任は重いんだよ。」
あまりにも酷すぎる。理由も聞かないなんて…
香山は必死に反抗した。でも無駄だった。
山田や、優太になんて言おう。でもいずれ分かることだ。
それから香山は、表舞台、学校から去った。
何で先生…
僕達に何も言わずに去っていったんだよ…。
その時、
「やめろ!」
「優太…?」
優太は幸輔の前に立った。「やるならオレをやれ!」「優太いいよ!帰っていいよ!」
「良くねぇよ!香山先生はもういない。だからオレが、守ってやんないと…。」『あぁいう先生がいたから、幸輔くんは、笑っていられるんだと思う。』
神山先生の言葉を何度も思い出す。
もう、幸輔の身近な味方は、神山先生、そしてオレしかいない。
優太は必死にかばった。
でも、その光景を不敵な笑みを浮かべて見つめる
担任がいた。