週末の夜、20:00に店長は、勇一、幸子、和枝、正、佐野を近所のコミュニティーホールに集めた。
「今日は忙しいところ、ありがとう。君達に、伝えておくことがある…もう知ってるだろうが、俺は、15年前と2年前に、ある曲に出会った。偶然にも同じ曲だった…そして、ある人達に出会った。 1つは、余命いくばくもない女性と、その兄。もう1つは、余命いくばくもない青年とその先輩だった…悲しい運命を2度も見てしまったんだ」
「えっ?」
幸子は、その話に驚いた。
「夕樹さん…もう話さなければならないね…俺は、2年前君の恋人である奥村利夫さんに、会っているんだ。そして、その前で、歌う男性にも…」
「…そうだったんですか」
「彼…いや『秀さん』と言った方がいいかな。…この2年間、自分が作った曲の為に、悲しい思いをさせたこと、悔やんでいたよ。そして、15年前にも、自分の曲で、悲しいことがあったことを知ってね…もう2度とこんな思いはしたくないって…」
「そうだったんですか…それなのに、私は曲について、深く知りたいって…すみません」
「けどな、君と荒木君のつらい思いが始まったのも、そこからだ…そしてこの2人にも…」
嶋野と紀子が入ってきた。
「皆さん、お久しぶりです」
「嶋野さん、森田さん、忙しい中、ありがとう。今日、君達に集まってもらったのは、会わせたい人がいるからだ」
「会わせたい人?店長、誰なんですか?」
勇一は、このメンバーを見て、察しはついていたが、まさかな…と思った。
「荒木君、いや君達が探していた人と言った方がいいかな?」
「えっ?」
その場にいる誰もが、驚いた。
「店長まさか…『秀さん』じゃないですよね?」
店長は、ゆっくり頷いた。
「そのまさかさ。
彼自身、悩んで、苦しんだ。…でも決断したんだ。もう1度、君達の前に出て、全てをさらすことを…どうだろう?受け入れてもらえるだろうか?」
「もちろんです」
全員答えは、同じだった。
「そうか…ありがとう。入ってきてくれ」
そして、扉が開いた。