あの落ちていたTシャツの持ち主は…あの人。
そして…直子か洋子かわからない…。
(どうしたらいい…?)
「何でそんな顔で見つめるの?…もしかして、あたしがどっちだかわからないの?」
(わからない…。いや…わかる。)
洋子なら派手な携帯。
ユーリは彼女がにぎりしめている携帯電話を見る。
シンプルな携帯。
間違いなく直子…。
でも、せっかく洋子と入れ代わったと言うのに、何故今更直子が出てきたのだろうか…。
「ユーリちゃん。俺ら行く所があるんだけど、ついて来る?」
「行く所って…?」
ユーリは不安になる。
今までにない…。なんとも言えない気持ち。
「そんな顔しないで。ねっ。俺らと行こう。」
自分でもわかっていた。ユーリの表情は硬直したままだった。
このままついて行く方が無難かもしれない…。
そう思いユーリは頷いた。
いつまでも口を閉ざし、頭の中で整理をする。
悪意があるように見えない直子と、ユーリがときめいた男性。
繋がりはただ一つなはず。
向かったその先には、あの洞窟…。
真夏だとゆうのに、ユーリの体から血の気が引き、体か震えた。
ためらいを見せた瞬間、ユーリは見たくないものを目にしてしまう…。
もう一人の男性と、多分洋子と思われる女性…。
女性は岩にもたれ倒れている。
(なんなの…?どうゆう事…?)
ユーリの胸の音が高まり、周りに響く。
「大丈夫よ。気を失ってるだけだから。」
直子はユーリに微笑んで呟いた。
「俺達、ここで待っていたんだよ。」
(待っていた?)
ユーリの頭の中は混乱し始めた。
自分の知っている人物が、今はよくわからなくなっている。
しかも、自分が思いを寄せている人物まで………。
「直子…?どうゆう事?」
言葉は洞窟内で響きわたる。
「どうゆう事って…。」
直子の視線は彼に向けられる。
それに気づき、ユーリも彼に視線を向ける。
ユーリは息を飲んだ…。