リレー小説「秘密」下:木村蜜実

木村蜜実  2009-09-17投稿
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「ただ、ユーリちゃんを驚かせたくてさ…。」
彼はにこやかに笑う。

ただ、驚かせたい…。

そんな訳がない。

洋子は倒れていて、彼の友達(大野君似)までいる…。
夜、ユーリが寝付いてしまう間に、直子と洋子が入れ代わった事もわかっている。

頭に残る言葉…。

『後悔する…。』

一体何に後悔するのか…。

「何でこんな所に用があるのよ…。」
ユーリは3人の顔を見渡した。

嘘のカケラも見当たらない顔に、段々と苛立っていく。

「やだなぁ…驚かせたかったって言ってるじゃん。」

「うそっ!!じゃあ何で洋子が倒れているのよ!!」
大声で怒鳴る声は、多分洞窟の外まで聞こえているだろう。

ユーリ以外の3人は、口を閉ざし、ユーリを見つめる。

(このまま逃げるか…?いくらなんでも1対3は無理…。)

考えているうちに、気を失っていた洋子が目を覚ます。

「あっ…ユーリ…?」

意識が朦朧としているのだろうか、上手く話せないでいる。

ユーリは洋子の側へ駆け寄り抱き抱えた。

「大丈夫…?」

「…は…やく…。」

洋子はか細い声で何かを言っている…。

「えっ?何?」

「に…にげ…て…。」

その言葉を聞いた瞬間、ユーリの背後に友達(大野君似)に腕を捕われる。

「!!」

逃げようがない強い力…。

直子は近づきユーリの目の前に立つ…。

「さぁ…。後悔する時が来たみたいね…。」

さっきまでとは違う、不気味な笑みを浮かべ直子がポツリと呟いた…。

身動きが取れないユーリ。

逃げてと呟いた洋子。

何故こんな事をしたのか………。

今、一つの糸が結びかけている………。





続く

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