「ただ、ユーリちゃんを驚かせたくてさ…。」
彼はにこやかに笑う。
ただ、驚かせたい…。
そんな訳がない。
洋子は倒れていて、彼の友達(大野君似)までいる…。
夜、ユーリが寝付いてしまう間に、直子と洋子が入れ代わった事もわかっている。
頭に残る言葉…。
『後悔する…。』
一体何に後悔するのか…。
「何でこんな所に用があるのよ…。」
ユーリは3人の顔を見渡した。
嘘のカケラも見当たらない顔に、段々と苛立っていく。
「やだなぁ…驚かせたかったって言ってるじゃん。」
「うそっ!!じゃあ何で洋子が倒れているのよ!!」
大声で怒鳴る声は、多分洞窟の外まで聞こえているだろう。
ユーリ以外の3人は、口を閉ざし、ユーリを見つめる。
(このまま逃げるか…?いくらなんでも1対3は無理…。)
考えているうちに、気を失っていた洋子が目を覚ます。
「あっ…ユーリ…?」
意識が朦朧としているのだろうか、上手く話せないでいる。
ユーリは洋子の側へ駆け寄り抱き抱えた。
「大丈夫…?」
「…は…やく…。」
洋子はか細い声で何かを言っている…。
「えっ?何?」
「に…にげ…て…。」
その言葉を聞いた瞬間、ユーリの背後に友達(大野君似)に腕を捕われる。
「!!」
逃げようがない強い力…。
直子は近づきユーリの目の前に立つ…。
「さぁ…。後悔する時が来たみたいね…。」
さっきまでとは違う、不気味な笑みを浮かべ直子がポツリと呟いた…。
身動きが取れないユーリ。
逃げてと呟いた洋子。
何故こんな事をしたのか………。
今、一つの糸が結びかけている………。
続く