消えた30の瞳 ?

内田俊章  2009-09-18投稿
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 2人は、心を落ち着かせて、改めて穴を覗き込み、遺体の数を数えた。

 父親以外は、セスナ機の乗員乗客に間違いないらしく、15人の遺体の、30の瞳が、薄暗い水面から、2人を見つめていた。

 2人は、自分たちが所属する、山岳警備隊の事務所ではなく、警察へ連絡を入れた。

 そして、遺体搬出のヘリコプターを要請した。

 間もなく、斉藤隊長から、連絡が入った。

 「矢口君、何故私にではなく、先に警察へ連絡を入れたんだ!」

 斉藤は“俺の立場を考えろ!”と、言わんはわかりに、怒っていた。

 「隊長!怒る前に、自分のやった事を、胸に手を当てて、考えたら良いんじゃないですか?」

 「な、何んだと!どう言う事だ!」

 斉藤の怒りは頂点に達していたが、矢口は付け加えた。

 「あんたも、こっちへ来たら分かるよ!自分が仕上げた地図を頼りにな!」

 矢口は、吐き捨てる様にそう言うと、無線の電源を切った。



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