目覚ましが鳴る前に目が覚めた。なにやら外が騒々しい。一体なにごとかと思い、表に出て俺は絶句した。
となりの山田さん宅は、五十坪ほどの広さの一戸建てなのだが、それがおびただしい数の警官隊に包囲されているのだ。
さらにその後ろには取材のマスコミ、さらには数え切れない野次馬がひしめき合っている。
山田邸を見やると、昨日までとはまるで様相を変えていた。
外の塀の上部には鉄条網が張り巡らされており、玄関部分には家具でバリケードが築かれている。窓という窓は板で目張りされ、まるで砦だ。
「観念したまえ、君たちは包囲されている!」
拡声器を手に、ドラマでお定まりのフレーズを叫ぶ隊長らしき男。
一体どうしたというのだ、これはただ事ではない。あの温厚な山田さんが、何かしでかしたのだろうか? まさか……。物騒な事件にでも巻き込まれたのだろうか?
「お隣の方ですか?」
警官の一人に尋ねられた。
「はい。一体、何が起こっているのですか?」
「話は後です。危険ですから、ぜったいに家から出ないで下さい!」
強引に家に押し戻された。まったく訳が分からない。