薄暗い繁華街の路地裏。
そこに、黒いタンクトップを着たゲイリーの姿があった。
そしてその背後には、三名の部下達。
彼等4人は、足元に転がる死体を見つめて深くため息をついていた。
目を潰されている者、腕が異常な方向へ折れ曲がっている者、口から血を流し倒れている者…。
…そして首を深く斬り裂かれているウォーレン。
彼の周りは赤黒い血溜まりで満たされていた…。
「何て事だ…。ウォーレン、まさかお前が…」
ゲイリーは悲しい表情を浮かべながら、そっと開かれているウォーレンの瞳を閉じさせた。
自分の右腕的存在である最も信頼していたウォーレンの死。
これはまさに彼にとって衝撃的な出来事であった。
…その時。
背後にいる部下達の一人が、何かに気付く…。
「ボス! 生きている者がいます!」
「何!?」
ゲイリーは直ぐに振り返り、その部下の元へと駆け寄る。
「こいつです」
…部下が注ぐ視線の先。
そこには口から血を流し、懸命に口を開こうとしている男の姿があった。
「お、おい! 大丈夫か!」
ゲイリーはすかさず、その男の肩を揺さぶりながら必死に声をかける。
「ぼ、ボス…」
すると、彼はゲイリーの呼び掛けにより意識を徐々にハッキリとさせていき、ゆっくりと壁にもたれかかった。
「おい! 一体何があったんだ!」
「あの男に…やられた」
「あの男?」
男は続ける。
「ディアスの幹部です…。長い髪に、コートを着た…」
「そいつ一人にお前等がやられたのか? 何て野郎だ…。そいつの居場所は分かるか?」
「わ、分かりません…」
「…そうか」
そう答え、ゆっくりとゲイリーは立ち上がり蒼く輝く空を見上げる。
「野郎…」
続く