ペンドラゴンになったエリンは、王族を見つけると、炎を吐いて燃やし続ける。
「おい…俺達も危ねぇんじゃ…。」
僕は青ざめた。
我を忘れてるエリンは、僕らまでを攻撃するに違いない。
「ハーン!お前、ペンドラゴンを守る役目だろっ!!何とかしろ!!」
と叫び、死神はそそくさと逃げる。
「なんだとっ!あっ!おい!逃げるなんて卑怯だぞ!!」
炎が届かない所まで走って、陰に隠れる死神…。
「ふぁいと〜ハーン♪」
拳を上げ、陰から覗く死神…。
(くそやろ〜。)
そう…エリンを止めるのは僕しかいない…。
「エリン!もういい!もう終わった!だから大人しくなれっ!」
一瞬動きが止まり、こっちを見る。
だが、再び動き出し、僕の体を掴み地面に叩きつける。
「いってぇ…くそっ!!」
思ったよりも凄まじい力…。
(畜生…。どうすれば…。)
例え僕がケルベロスに変身しても、多分勝ち目はない。
エリンを傷つけたくない…。
「もう変身するしかないぞ!!」
死神が叫ぶ。
妖力を高め、渋々ケルベロスになる…。なった所でどうにもならない…。
エリンを正気に戻す方法…。
考えていると、エリンは僕に攻撃をしてくる。
背中を引っかかれ、血が流れる。
でも、僕は攻撃なんてできない…。
「何やってんだよ!何か思い出させる言葉とかないのか?!」
「うるせーよっ!!今考えてんだよ!!」
(ん…?思い出させる…?)
「死神!!もっと離れてろ!!」
「なんだ??何か方法があんのか??」
「いいからっ!早く行けよ!」
思い出させる方法は…。
「エリン…。ごめんよ…。頼むから耐えてくれ!!」
そう…『禁断の魔力』
小さい頃に使って、そしてエリンも覚えている…。
(頼む!!)
祈りながら僕は『禁断の魔力』を使う…。
大きな奇声をあげ、徐々に元の姿に戻っていく…。
落ちていくエリンを僕は傷を負った背中で受け止める。
「だっ…大丈夫か…?」
死神は急いで僕に近づき、背中を懸命に見る。
「俺は大丈夫…。」
そう言って、僕は意識が遠退いていく…。