非情にも姉は不思議そうな顔のぼくに説明する事無くぼくを突き飛ばすと「忘れ物〜☆取りに行くから邪魔よ≪ぼく≫」等と訳が分からない事を言って2階に駆け上がって行った。
―――何なのかなー。≪ぼく≫って……。凄く、気になるー。
ぼくはいつか絶対この謎を解いてやると心に決めると姉を追って2階へ駆け上がった。
2階に着くと姉が部屋の中をまだうろうろしていた。
「無いよ〜。無いよ〜。ボクのラケットが無い!」
姉はテニス部に入っている。ぼくも辺りを見回すが確かにあの姉の手に因って不思議な装飾をされたラケットは見当たらない。
「どーしよー……」
ぼくは姉に言った。
仕方が無いでしょー。姉のラケットなんか知らないー。どーでも良いー。
すると姉はぼくを見上げると微妙な顔で言った。
「≪ぼく≫、そんな事言ってると、ボクやおとーとがいなくなった時、後悔するよ」
え?
何で此処で兄が?