チンゲンサイ。?

麻呂  2009-09-21投稿
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妻は泣いていた。


滅多にする事もない夫婦ゲンカの時だって、


簡単に涙など見せる女ではなかったのに。


息子の吐いた暴言のショックが、よほど強かったのだろうか。


こういう時、父親として出るべき態度は決まっているが、


今となっては、父親の威厳さえ無くした俺が、


息子を叱りつけた所で、何の解決になるだろうか。


正直、こんな事を考えている自分が情けなかった。



俺は息子が怖いのか?!――



しかし、あの素直なユウがどうして――


『ユキエ。何があったのか説明してくれ。

ユウは何処へ行ったんだ?!』



事の経緯を聞かぬ事には、何の解決にもならないと言うのは、俺にも分かる。



『私の財布の中からお金を持ち出したんです。

前々からおかしいとは思っていましたけど、

今日、偶然その瞬間を目撃したから、ユウを叱ったんです。
そしたらいきなり―――』



涙声で話す妻の声に、俺は正直当惑した。


ここは、やはり父親として、息子に言うべき事を言わねばならぬ場面だろう。



『ユウは?!部屋にいるのか?!』



『えぇ。少し前に帰って来たわ‥‥。』


『ユウ!!父さん話がある。ちょっと下へ来なさい!!』

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