『今日のゲストは
beatのみなさんです!』
テレビからやたらと
テンションの高い
司会者の声が
聞こえる
『お願いしまーす』
今人気の4人組のバンドが
笑顔で登場する
4人の中でも
ひときわ目立つあいつは
似合わないさわやかな
笑顔をふりまく
パチンッ
俺はリモコンをソファーに
放り投げる
朝からイライラする
朝といっても
もうお昼すぎだ
バイトは夕方からだから
まだ時間がある
だらしない格好のまま
ドアを開け
階段を降りる
ポストから
新聞やら広告を
とりだす
ポトッ
足下に一通の
かわいらしい封筒が
落ちている
ため息をつき
拾いあげ、裏返し、
差出人を見る
大阪の見覚えのない住所と
斉藤 愛 という
見たこともない名前が
かわいい字で書かれている
誰だ…?
さらに裏返し
宛名を確認する
住所は確かに
このマンションだ
そして俺の部屋の
番号がかかれている
ただ違うのは
beat 卓也 様
さっきのバンドの
造られたさわやかな
あの笑顔が浮かんだ