走った
私はいそいでいた
ドアを勢いよくあける
おばさんはいなかった
「愛!愛!!
聞いて、きてんで!
手紙が!
あの、卓也さんからやで!」
愛が一瞬、
笑ってくれたように思えた
一週間ほど経っただろうか
俺の返事にまた、
手紙が届いた
またかわいらしい
封筒だ
斉藤 愛
最初は誰だったか
全く記憶になかった
宛先の 卓也 をみて
思い出した
にしても
2通もわざわざ
ここに届くなんて
郵便局も相手も
気づいてないのか
いつものソファーに座る
中野 卓也 様
丁寧な
かわいらしい字が
並ぶ
――お返事ありがとうございます
本当に嬉しかったです―\r
相手の嬉しそうな
顔をうかべて
なんとなく俺も
嬉しくなる
――私は、実は
今病院にいます―\r
び ょ う い ん…?
――入院中なんです
私はこんな毎日が嫌で
希望なんかなかった
そんなとき、
beatの曲に
励まされたんです――
俺の中で変な感情が
うまれた
最初に書いた返事では
生まれなかった感情だ