お祭り―三

橋本ゆかり  2009-09-21投稿
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「よー!今頃来たの?これから花火なんだって。見ようよー」
と笙子は矢継ぎ早に言った。

「相変わらず笙ちゃんの行動スピードにはびっくりだよね。」
「うん…」


数人の男女中学生は駐車場に座りこんだ。

偶然…とは言いがたい感じで優と村上は隣に座った。
風は丁度よく感じられた。

「部活が長引いて遅くなっちゃったよ。まったく、先生もこんな日に延ばすなよ、ってカンジだよな」
村上は笑って言った。


「マズイな、固まってるよ優…」
「分かりやすいね〜」
「しょうがない。助け船…」

ドーン…

「あ、花火だ!」
「始まったな。」

「あたしあの蝶みたいなの好きだな」
「いやいやいや、垂れるヤツだろ。」

2人は他愛ない花火の話を始めた。

たくさん光り、一瞬カラフルに煌めく空。
互いの顔も周りに照らされて…

今、隣にいられる
こんなに近くに。

(この状況が、幸せだと思えている今はまだ、告白なんてしないよ。)


「花火ナイスだね。」
菜摘は笑って言った。
「盗み聞きはよくないね、菜摘サン。」
と、笙子もニヤリと笑った。


いつか、こらえきれないぐらい、好きになってしまう。そんな日がきたら…

「断言しよう!!優はクリスマスに告白するね!!」
「笙ちゃん…それはあんたの希望でしょ!」

だが優は内心、ヒヤヒヤしていた。心を読まれたかのようなタイミングで言われたからだ。
「うちらに任せてよね。手伝うから。」

夜道、3人の少女たちはお祭りの熱気が冷めきらない様子だった。


「…ありがとね。さっきも助け船出そうとしてくれたよね。丸聞こえだったけど。
今日始めっからあたし、そわそわしてて2人も巻き込んじゃってさ」

「まぁ私の時はがっつり働いてもらうからね!その分だよ。貸しだよ、貸し。」
笙子が早足になりながら、空を見上げて言った。
「じゃあうちは倍で!」
菜摘がニコニコしながら言った。

煙が去ったあとの空には、星がきらきらと瞬いていた。

☆お し ま い☆

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