「よー!今頃来たの?これから花火なんだって。見ようよー」
と笙子は矢継ぎ早に言った。
「相変わらず笙ちゃんの行動スピードにはびっくりだよね。」
「うん…」
数人の男女中学生は駐車場に座りこんだ。
偶然…とは言いがたい感じで優と村上は隣に座った。
風は丁度よく感じられた。
「部活が長引いて遅くなっちゃったよ。まったく、先生もこんな日に延ばすなよ、ってカンジだよな」
村上は笑って言った。
「マズイな、固まってるよ優…」
「分かりやすいね〜」
「しょうがない。助け船…」
ドーン…
「あ、花火だ!」
「始まったな。」
「あたしあの蝶みたいなの好きだな」
「いやいやいや、垂れるヤツだろ。」
2人は他愛ない花火の話を始めた。
たくさん光り、一瞬カラフルに煌めく空。
互いの顔も周りに照らされて…
今、隣にいられる
こんなに近くに。
(この状況が、幸せだと思えている今はまだ、告白なんてしないよ。)
「花火ナイスだね。」
菜摘は笑って言った。
「盗み聞きはよくないね、菜摘サン。」
と、笙子もニヤリと笑った。
いつか、こらえきれないぐらい、好きになってしまう。そんな日がきたら…
「断言しよう!!優はクリスマスに告白するね!!」
「笙ちゃん…それはあんたの希望でしょ!」
だが優は内心、ヒヤヒヤしていた。心を読まれたかのようなタイミングで言われたからだ。
「うちらに任せてよね。手伝うから。」
夜道、3人の少女たちはお祭りの熱気が冷めきらない様子だった。
「…ありがとね。さっきも助け船出そうとしてくれたよね。丸聞こえだったけど。
今日始めっからあたし、そわそわしてて2人も巻き込んじゃってさ」
「まぁ私の時はがっつり働いてもらうからね!その分だよ。貸しだよ、貸し。」
笙子が早足になりながら、空を見上げて言った。
「じゃあうちは倍で!」
菜摘がニコニコしながら言った。
煙が去ったあとの空には、星がきらきらと瞬いていた。
☆お し ま い☆