愛との手紙は
途切れることなく続いた
俺の中で膨れた罪悪感は
いつの間にか消えていた
それでもときどき
どうしようもない
罪悪感におそわれた
彼女は俺の
ファンでもなんでもない
増えていく彼女からの手紙は
俺を励ました
愛の言葉いつだって
純粋で辛いなかにいても
いつでも前向きだった
そして彼女もまた
全く知りもしない
こんな男からの手紙に
希望をもらっていた
そして俺は
彼女の返事を待ちながら
もう一つ、
くるはずのない返事を
待っていた
あの日、浮かんだままに
かいたあの曲が
諦めてしまった夢を
もう一度叶えてくれる気が
していた
「おまえ最近変わったね」
人と付き合うことが
面倒になっていた俺は
珍しくバイト先の先輩に
誘われて飲んでいた
「そうっすかね」
適当に返事をしたが
相手は真面目な顔で
俺の顔をみつめながら
続けた
「いや、ほんとに
変わったよ
表情が違うもん
なんかあった?」
俺は愛のことを
思い出しながら
何もないっすよ、と
笑った