「すっご〜い!」
「キャー!シンく〜ん!」 「やっぱりシンが
1番だねっ!!」
「うん、僕らも今まで3段目が限界だもんね。」
ジャングルジムの4段目からジャンプが出来る、真一(しんいち)は、 同学年の小学二年生、ほぼ全員に、絶大な人気がある。
「次はユウタの番だぜ。」
真一が、勇太にニヤケた顔でそう言った…
「う、うん」
勇太は、
うつむいてしまう。
「あはは、ムリムリ〜!」 「そうだよ。‘勇太,なんて名前のくせに、こないだも……プクク。」
「そうそう、ユウ君って、一段目に上っただけで、足ガクガクで、すぐに下りちゃったもんね。」
「アハハ」 「弱虫〜」
「幼稚園児〜」
「いや、幼稚園児でも、一段目くらいでビビらないでしょ!」
「アハハ、シン君それは、言い過ぎよ〜。ね〜あんなの放っておいてさ、今日は私と一緒に帰ってくれる約束よねっ。行きましょっ♪」
「あ〜?そうだっけ?
まいっか、行こうぜ。じゃあな。みんな。」
「え〜?ずるいよ麻衣子(まいこ)。」
「シン君まって〜!!」
…一人取り残された勇太は、あまりに悔しくって、ジャンプ出来るように一人で特訓する。
4、5回、一段目と地面を往復していると、
「なにしてるの??」
と女の子の声がして、驚いて一段目から飛び下りてしまった。
「…やった……飛べた。やった!!飛べたっ!!
ヤッホー!飛べたっ!飛べた!!」
勇太は変な踊りをしながら喜んでいる。端(はた)から見たら…いや、どこから見ても引いてしまう状況だったが、その女の子は、
「エヘヘ、良かったね。何してたの??」
…と、優しい笑顔で勇太に再び声を掛けた。
「あ、いや、どうも…(や、やばい…恥ずかしい…なんとか言い訳を…ん〜…ん〜、…無理だ…恥ずかしいけど、正直に言おう…)ぼ、僕さ、クラスで1番臆病者なんだ…、笑っちゃうでしょ?だってクラスの皆は三段目とかから、平気で飛び下りたりするのに、僕は一段目に上るだけでも、怖くて仕方ないんだ…。」
自分で言いながら情けなくなり、涙を堪(こら)えながら、勇太はそう語った。
「フフッ。」
…笑われた…やっぱり僕なんて…と、勇太がうつむいていると…カンカンカン…
その女の子は五段目までスタスタ上り、「よっ。」と掛け声を出し飛び下りたのだ。
続く