正志と後輩の木下はソウルヤミという韓国料理店で食事をしていた。
店内のスタッフはみんな韓国人で流暢に日本語を話せる韓国人もいれば、そうでない人もいた。
テーブルの上にはトッポギ、チヂミ、プルコギ、イカフェサラダ、ユッケジャンなどの定番の韓国料理が並べられていた。
「木下、韓国料理は好きか？」
「はい、海外の料理はあまり食べた事が無いのですが、韓国の料理は日本人向けで美味しいです。」
「確かに、アジアの料理は日本人好みなのかもしれん。」
二人は普段、あまり口にしない韓国料理について語り合っていた。
「先輩、明日からの有給休暇は何をする予定なんですか？」
「いや、ただ単に家でゆっくりするよ。本当ならどこか遠い海外でも行きたいんだけどな。今年に入って働き通しだから、明日は家で映画でもレンタルしてまったりするよ。」
「どこか海外って、韓国なんてどうです？近いし、ここの料理と同じで美味しいい物も食べれるし。キムチ、食べ放題ですよ。」
「韓国かぁ。悪くないかもしれんが、やはり韓流スターを追っ掛けるおばさん達の聖地でしかないな。」
「いや、それは偏見ですよ。韓国は、国内にいるように見えて実は海外みたいな不思議な国なんです。」
「いっその事なら世界の果て、いや宇宙でも行ってみたい気分だ。」
「先輩、それは少し夢を持ちすぎでは無いかと。」
木下はあきれてものを行った。正志は好奇心溢れる性格の持ち主で、将来やってみたい事がたくさんあった。
二人は二時間程、みせで滞在した後、木下は明日仕事なので二丁目の交差点の所で別れた。
正志は空を見上げた。キラキラと光る星の群れと、漆黒の闇夜に妖艶に浮かび上がる月を目にした。
彼は思った。何て綺麗なんだ。こんなに月を見て感動したのは何年ぶりだろう。ずっと彼が生まれる前からある月。
彼はそれを見て何だか幸福を実感した。
月は今日も地球の様子をうかがっている。・・・
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