その会話を一人、不安そうに聞く女子。
３年４組学級委員、相田涼子。
涼子は、見てしまったのだ。
優太が、あの先生にやられてるところを。
他のクラスメイトはきっと何も思っていないのだろうが、涼子は見てしまったので、優太の顔を直視できない。
「私にできること…」
涼子は保健室に行った。
「…岩塚先生？！」
「あの…どういう人か知りたいんです。」
涼子は、比較的安全な保健の先生に聞いてみることにした。
「…前は、有名な中学校に勤めてて、周りから慕われるいい先生だったみたい。教育委員会からも、『優秀教員』として認められているという先生。」
「…そうなんですか。」
「…それがどうかしたの？」
神山は疑問を隠せない。
「実は…」
「…うそ？！」
「…事実です。私見ました。」
涼子は写真を取り出す。
「これが、岩塚先生、殴られてるのが、優太くんです。」
「そう。わかったわ。」
涼子は長い髪をかき立て、保健室を出る。
「あっ、相田さん！」
「はい…！」
涼子は戻る。
「何で…カメラ持ってたの？」
「あ…あの…それは…」
体が硬直する。
「学校にカメラは持ってきちゃいけないでしょ？」
「はい。反省します。」
涼子は少しドジっぽい面もある。
「じゃ…失礼しましたっ！」
涼子はスタスタと帰っていった。
神山先生は一枚の写真を手に取る。
「優太くん…。」
神山は岩塚先生を呼び出すことにした。
「…私に何か？」
「…これ。岩塚先生ですよね？」
「……」
「あの…間違いだったらいいんです。いいんですけど…。」
殺気がみるみる増していく。
「…誰がこの写真を撮った？」
岩塚は神山の襟を掴む。
「や…やめて下さい！」
首に、ナイフが突き付けられた。
「はっ…はっ…」
神山はパニック状態に陥った。
「もしこのことを他の先生、生徒に一人でもバラしたら、お前を殺す。」
「は…は…」
神山は何とか首を縦に振った。
「マジで殺すからな。」
「は…はい…。」
「で、誰？これを撮ったの…誰？！」
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