チンゲンサイ。?

麻呂  2009-09-22投稿
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しかし、ユウのあんな反抗的な態度は初めて見た。


やはり、これも仕事を辞めた俺のせいなのか。


思い起こせば、リョウがユウと同い年の時には、こんな事は1度も無かった。


ユウと比べて、少し要領がいいリョウは、反抗期さえも、うまく通り抜けて来たのかもしれない。


それは、来年の大学受験を推薦入学と言う形で、本人が希望している事からもうかがえた。



『あなた、夕食の支度が出来ましたよ。』


内心、夕食を作る心境ではなかったはずの妻が用意してくれた料理は、


皮肉にも、ユウの大好物のカレーだった。



『今日のカレーは、味が薄いな。』



『そうですか?!いつもと同じに作ったんだけど‥‥。』



夫婦2人きりの夕食なんて、何年ぶりだろう。


いつも、家族4人共、バラバラの時間に済ませる夕食に慣れていただけに、


その時間は、俺達夫婦にとって、何とも言いようのない不思議な感覚となった。


『ただいま。』



玄関のドアを開ける音がして、帰宅したのは、リョウかと思われたが、


なんと、その後ろには、ユウも一緒に立っていた。



『ユ‥ユウお帰り。
今日は、あなたの大好きなカレーを作ったから、たくさん食べなさい。』



妻は、ついさっき、たんかを切って、外へ飛び出した我が子が心配だったと見えて、


真っ先にユウにそう言った。



『近くのコンビニ寄ったらさ、偶然ユウに会ったから、一緒に帰って来たんだ。
なっ?!ユウ?!』


リョウは、膨れっ面をして立っている弟を気遣ってみたようだが、


どうやら、ユウの機嫌は直っていない様だった。


俺も自分の息子に、あの様な暴言を吐かれ、内心穏やかではないはずなのだが、

言われた言葉を思い返してみれば、


ユウの言っている事も一理あるのかもしれないと思った。


ユウにしてみれば、父親が真っ昼間の公園で、


1袋50円のパンの耳をかじりながら、新聞を読んでいる姿など、


決して見たくはないはずだった。



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