チンゲンサイ。?

麻呂  2009-09-22投稿
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『さぁさぁ座って。
ユウの大好きなカレーよ。』



それは、妻が玄関先に立っているユウを座るよう促し、


お皿に、なみなみに盛ったカレーをテーブルの上に置こうとした瞬間だった。



ガンッッ‥ガラガラガッシャーン‥―ー‐



ユウは、妻がテーブルに置いたカレーを、


他の料理や食器と一緒に、床へ放り投げたのだ。



『こらっっ!!ユウ!!何て事をするんだ!!』



さすがの俺も、これには黙っていられなかった。


妻は、両手を口に当て、我が子の思いも寄らぬ行動に、放心状態だった。



『こんな不味そうなもン食えねーよッッ!!

さっきは、よくもクソオヤジにチクってくれたな!!

このクソババァ!!』



ユウは、妻に向かってそう言うと、


今度は、水の入ったコップを妻の顔めがけて投げつけた。



『キャアアァァァ―ッッ―ー‐』



コップの中の水は、見事に妻の顔に命中し、


床には、空になったコップが砕けて散らばった。



『ユウ!!やめろって!!落ち着けよ!!』



兄のリョウの言う事も、興奮しているユウの耳には届かなかった。



『こんな家、俺が崩壊させてやる!!』


ユウは、部屋の中の物を手当り次第手に取り、


妻や俺に向かって投げつけて来た。


その時、俺は気が付いた。


俺の中の怒りの源とは何なのかと言う事を。



『ユウ!!自分の腹を痛めて産み、育ててくれた母さんに対して何をしてるんだお前は!!

自分1人でデカくなったつもりかああぁぁぁ――!!』



バチンッッ―ー‐



ユウの頬を平手打ちした俺を、


睨み付けながらユウは、また家を飛び出してしまった。



『う‥うっ‥‥もう‥終わりよ‥‥何もかも‥‥。

何であのコが‥‥うっ‥‥うっ‥‥‥。』



妻は泣きながら、割れた食器を拾い集め、


リョウは何事も無かったかの様に、


携帯にかけてきた彼女と仲良く話し始めた。



『あ?!コトミ?!うん、オッケー。

これからお前ン家行くよ。

え?!うち?!ダメダメ。ちょっと問題のアル中のオヤジが暴れててさぁ〜。』



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