「誰も愛せないから、この状況も平気なんだよ。」
スグルくんの瞳は死んでいた。
それなのに声のトーンだけは明るくしていた。
そのことが私には悲しくて仕方なくて涙がもっと溢れてきた。
そして思わず出た言葉。
「スグルくんが愛せないなら、私がスグルくんを愛するよ。」
軽く言ったように聞こえただろうか?
私は本気だ。
スグルくんは私の頭を撫でて
「ありがとう。」
と一言。
何故が少しすっきりして私は涙は止まった。
電車がスグルくんの降りる駅に着きそうな頃
「今日は一緒に帰ろううか?」
と…。
私は頷いた。
「じゃあ、後でメールするね。」
そう言うと電車を降りて行った。
私はパニックだった。
スグルくんの影を見たこと。
一緒に帰ろうと言われたこと。
そして、スグルくんの触れたところが熱い。
私はスグルくんの触れたところを触って落ち着こうと努力した。