正志は、月に心を奪われながら我にかえった。さあ、飲みに行こう。どこか隠れ家的なバーが良いなと彼は歩き始めた。
しかし、彼は暗い狭い道に入り込んでしまった。
なんか薄気味悪い道に来てしまったなぁ。悪漢に襲われたりしないかとか、野良犬に追われたりしないかとか不安になった。
その時、道の片隅で怪しげな老人が椅子と机を並べて座っていた。正志は警戒しながら、おそるおそる近づいてみた。
机の上に立てられた目印の板には”あなたの人生を変えます!ついでに占いもやります”と書かれていた。
正志は人生を変えるのも興味があったし、占いをしてもらうのにも感心があった。思えば25で結婚するはずが、ことしでもう30。自分はいつになったら結婚できるのだろうかと。
「おー。旅の人、どうだい少し占いでもやらないかい?」 正志は少し未来を占ってもらうのは恐いという気持ちがあったが、やってもらう事にした。
「あの−。ちょっと占いをやってもらう事できますか?僕、少し結婚がいつできるか知りたくて。」
「よかろう。少し不安に思うんじゃな。さあ、右手を出してみい!」正志は言われるがままに右手を差し出す。
「ポラカラランジャンパルディン・・・」と謎の占い師は唱え始めた。正志の顔は不安で強張る。
「出たぞ!お主は残念ながら生涯独身じゃ」正志はそれを聞いて愕然とした。
「そんな、生涯独身なんてあんまりですよ。僕は、ちゃんと仕事もしているし、女遊びもしないし、外見だってそこまで悪くないし、きっとあなたのいっている占いはインチキですよ。」とムキになって反駁した。
「いいか。旅の人、ワシの占いはかなりの確率で当たるんじゃ。このままいけば、お主はきっと運命の人とは結ばれずに終わるだろう。」正志と占い師の間に冷たい空気が流れた。
「占い師さん、何か良い方法は無いんですか?」
「ほぉ。そうきたか。旅の人、この看板をよく見てみい。゛あなたの人生を変えます。ついでに占いもやります。゛」正志は少し気を取り直して口を開いた。
「という事は僕の人生を変える事ができるんですか?」