運命の人を求めて、今ドキのサーフ系のユウキは今日も後輩の智也を引き連れ、江ノ島海岸でナンパを繰り広げる。
「ユウキ先輩、今日も江ノ島は賑やかですね。」
「智也、海は俺達を呼んでるぞ。浜辺に群がるまばゆいアフロディーテ達が俺らを待ってる。」
海には彼らの好きそうなビキニギャル達が勢揃い。
ユウキと智也は今年、8月の上旬にして海へは5回目。毎回、海水浴が目当てでは無く、スィートな女子たちが目当てだ。
お姉系、ギャル系、清楚系、ロリ系何でも彼らにはストライクだ。
彼らは今回も何人かの女子に声をかけたが、全く相手にされなかった。
一グループ目は完全無視、二グループ目は笑かせすぎて口説けず、三グループ目は会話が噛み合うにもかかわらず、断固電話番号は拒否。
そして前方に目をはばかるような美人二人組がパラソルの下で日焼け止めクリームを塗っている。
「こんにちは」とユウキが声をかける。
「バイバイ?」と色黒で茶髪のお姉系ギャルに言われる。
「なにー。僕がこんにちはと言えば、バイバイだってまだ僕ら会ったばっかりじゃん。元気?」
「最悪。?」ともう片方のロリ系の可愛い子が言う。
そこで智也が、「君ら、学生?」
「違う。」
「10代?」
「違う。」
「22くらい?」
「違う。」
「可愛いいね!」
「全然。」
「ダイアモンドガールだね。」
「ノー!。」
その会話を見てユウキが、「君達、僕らの質問にノートって言ってばかりじゃん。全然、話しが噛み合ってないよ。じゃあ、この後カラオケ?行こうよ?」
「行かない。」
「ボーリング!」
「行かない。」
「居酒屋!」
「行かない。」
「ビリヤード!」
「行かない。」
「何でちゃんと答えないの?」
「さあね。」
ユウキが振り絞って口を開いた。「最後に一言、言わせておくれ。君らは僕らがこんにちはと言えば、ノー。元気?と聞けば最悪。僕らが何処か行くと言えば、行かない。何故?と聞けば、さあね。これじゃあんまりだよ。君達との仲はこれからだというのに。」
二人は悲しく引き上げた。恐らく、今年一番の屈辱的なフラれ方だった。
ハロー・グッドバイ!江ノ島の夏はまだ続く。