もしも明日が1-4

花神ミライ  2009-09-23投稿
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カツーン…

カツーン…

真っ暗な廊下を歩く。
消火栓の赤や非常口ランプの緑の不気味さが心地よい。

先程火葉を襲った彼――杉山は火葉らと同じ異能力者である。
しかし彼と違うのは杉山が『違法』異能力者であるということだ。

『IC』は異能力者がその能力を使い一般人を攻撃した場合、彼らを『違法』異能力者と定義している。
杉山は先日、電気を操るという能力を使い校長を事故に見せかけて大怪我させているのだ。

「ちぃ…『IC』の奴等め、送り込んでくる異能力者は一人じゃなかったのか」
杉山は苛立っていた。
どうにか『IC』である(と思われる)転校生の隙を突いて気絶させたのに途中でやって来た少女に返り討ちに遭い右腕からはどくどくと赤いものが流れ出ているのだから。

「…っ…来たか」
磁界を応用した感知システムで敵の接近をキャッチする。

先に飛び出してきたのは少女の方だった。
その手に鍔のないスラリとした日本刀を携え真っ直ぐに突っ込んでくる。

バチィッ

火花が散り杉山と少女の距離は僅か二メートルしかない。
「くっ…お前も『IC』だったのか……っ」
杉山が叫ぶ。
しかし少女は即答する。
「違うわ。
私がここにいるのは単なる暇潰しだもの。」
声は張り上げず、しかし凛とした声だった。

「…さ、おしゃべりはここまでよ。」

リボンの先端の大きな鈴がシャラン、と一つ鳴った。

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