中央のゲートを通過し、スティーブはツカツカと店内へと歩を進める。
しかし、店内は彼の想像以上に多くの人々でごった返していた…。
やはり、レジの前は無数の客達によって長蛇の列が作られており、彼はその光景を見て思わず溜め息をついた…。
「何て事だ…。買う気無くすな」
スティーブは取りあえず、喫煙所のそばに設置されている自販機で煙草を買う事にした。
(くそっ…。あの夢を見てから気分が晴れないぜ…)
何度も溜め息をつきながら、何とか自販機から煙草を取り出す。
「さて、次はビールだな」
そう呟いて歩き出すが、しかしスティーブはその時異様な気配を感じ取った。
…その気配はあの時、地下駐車場で感じたのと同じ物である。
(早速か…)
一応横目で確認してみるが、やはりその気配は背後からの物だった。
そうと分かると、スティーブはゆっくりと後ろへ振り返ってみる。
「!?」
…振り返った彼の目に飛び込んで来た物。
それは、行き交う人々の中を只一人だけ静止して立っている不気味な男であった。
…筋肉質な両腕には派手なタトゥーが刻まれている。
「クローディアス…か」
…その時だった。
スティーブを見つめる不気味な男が、突如と彼に向かって走り出したのだ。
「何!?」
まさかの展開にスティーブは戸惑いを見せつつも、その足は自然と動き出していた。
一瞬にして辺りは騒然となり、やがて客達のざわめきが店内に響き渡り始める。
「くそっ。面倒な事になった…」
ひたすら男から逃げるスティーブだったが、その時一人の男性が彼の目に止まる。
「あっ、そこの人! 後ろの奴何とかしてくれ」
「何だ?」
30代前半くらいの無精髭を生やした男性は、スティーブにそう言われて後ろへ振り返ってみた。
やがて彼は笑みを浮かべ、
「ふっ。何だか知らないが、邪魔するよ」
男性は冷静にそう言うと、走ってくる男の首をタイミング良く掴み、そのまま床に倒した。
「ぐぁっ…」
「ほぉ、やるじゃねェかおじさん。ありがとよ」
そう言って足を止めて振り返るスティーブに、しかし男性は言った。
「安心するのはまだ早い。お前を狙う奴は他にまだいるぞ」
「何!?」
続く