中に入ると、様々なアトラクションがあり、まるで外の遊園地にもありそうな大きなアトラクションもあった。
「何から乗る?」
「じゃあ…これ!」
僕が選んだのは、ある映画をモチーフとした、刑務所から脱出するというアトラクションだ。
「どうやら、成功バージョンと、失敗バージョンがあるらしい。」
「うへー。」
龍吾は戸惑う。
「とりあえず、並ぼうよ。」
陽太が列に入った。
「…ねぇ龍吾。並ぶのって嫌いだよね。」
「ああ……」
「だからこれ持ってきた。」
僕は、気軽に食べられる食物を2人に渡した。
「おっ!サンキュー!」
「うん。これ、おいしいんだよ。」
こうやって話していると、アトラクションを待っている時間なんて短かったように思えた。
いよいよ僕達の番だ。
「オレ、緊張するなぁ…」「ほらほら。」
龍吾はこういうときはホントダメな奴だ。
いざアトラクションに入ると、やっぱりちょっと怖いところもあった。
「楽しかったねみーくん。」
「うん。こわ楽しい。かな。」
「だな。」
3人は再び次のアトラクションを目指した。
時刻は既に夕方の4時。3人はアトラクションを乗り尽くし、下のフロアのゲームセンターに来ていた。
「いっぱいクレーンゲームとかある!すごいねここ!」
僕はテンションが上がった。
「みーくん。何欲しい?この龍吾様がとってやるよ。」
「じゃあこれ!」
「よし!取るぞー!」
「へへっ。じゃあ龍吾は何が欲しいんだよ。」
「オレは…彼女かな。」
「何だよそれ。」
「……」
1人、陽太は黙って見ていた。楽しそうな光景を見て、
「みーくん…この人と出会って、よく笑うし、明るくなったし、良かった。」
ホッとした様子だった。
「おい陽太!こっちこっち!取れそうなのある!」
「…何だよ!どこ?龍吾。」
「こっち!」
その楽しそうな雰囲気を、壊すものが忍び寄っていた。
それは、その一言から。
「あっ…オレちょっとトイレ行ってくる。」
「あっ、オレも。」
と言って陽太も行ってしまった。
「早く戻ってきてよ。1人は寂しいから。」
「あぁ、すぐ戻ってくる。」
僕は1人、待っていたのだろうか。あの、恐怖を。
「みーくんが待ってるから、早く行かないと。」
「…龍吾…。」
陽太が話し掛けてきた。
「どうしたんだよ。」
「いや、何でもない。ただ、龍吾は頼もしいなあって。」
この時にもう事件は起きていた。