俺は妻を愛している――
20年連れ添った妻、ユキエを愛している。
俺が19、ユキエが18の時に結婚し、
その時、俺はまだ社会人1年生だった。
高校時代に、授業で少しかじっただけの、コンピューターのプログラミングも、
社会に出て通用するレベルの物ではなかったのだが、
半ば強制的に、最初に配属されたシステム開発課で、
いつの間にか、課長の辞令が下りる程に成長出来たのは、
共に歩み、連れ添ってくれた、妻の支えがあってからこそだったのではないか。
俺が仕事を辞めてからも、妻はパートの時間を延長する事まで考えてくれていた。
それなのに俺は、
結婚してから、この20年間、
妻に何をしてやれただろう。
旅行ひとつ連れて行ってあげた事も無ければ、
洋服1枚買ってあげた事も無い。
子供達の事は、全て妻に任せっきりで、
妻や子供達の話を、何ひとつ聞いてやる心の余裕すら無かった。
今まで、ただがむしゃらに働いて来た俺は、
自分の事しか考えていなかった。
俺は何を思い違いをしていたのか――