ほんの小さな私事(100)

稲村コウ  2009-09-24投稿
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体調も大分よくなったので、私はその後、教室に戻り、授業に復帰した。
途中からではあったが、滞りなく授業も終わり、休み時間を迎えると、クラス中の女子が、私の回りにやってきて、私の事を心配してか、色々と聞いてきたが、私は「ちょっと目眩かして保健室で休んでいた」と答えた。
制服が破れている事については、倒れた際に、茂みに倒れ込んでしまったからと答えたが、この制服の破けについて、何が原因かは、私自身が一番知りたいところではあるが…。
何はともあれ、皆が心配してくれるのは嬉しいのだが、それより本当は、山下さんを捜しに行きたいと思っていたものの、この様子では、それもままならない。
何とか高野さんに、山下さんを見かけた事でも伝えたかったのだが、私への質問攻めが続いて、とても高野さんに話しかける余地も無く、結局、この休み時間は、その質問攻めで終わってしまった。

次の授業は体育だったので、チャイムが鳴る直前から、更衣室への移動が始まり、そこで漸く、質問攻めから逃れる事ができた。

「うちのクラスの女子は、ああやって何かあると騒がしくなるのがねー。ってまあ、どこのクラスの女子も同じかも知んないけど。」
体操服に着替えながら、高野さんは、呆れたようにそう言った。
まあ、確かに、こう言っては悪いのだが、多少、相手をするのがきついと思った部分もある。心配より、むしろ、出来事について、根掘り葉掘り聞いてくるという辺りは、私としても、あまり好きにはなれなかった。
「それはそれとして…今朝の事なのですが…。」
私がそうやって、山下さんを見かけた事を高野さんに話そうとした時、急に外が眩しく輝いたかと思うと、激しい雷鳴が辺りに鳴り響いた。
私たちは、思わず、「きゃっ!」と言いながら、その場にしゃがみこんだ。

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