あなたがいるだけで。《最終話》

ゆう  2009-09-24投稿
閲覧数[236] 良い投票[0] 悪い投票[0]

いつの間にか夏になっていた。蒼々とした空に白い雲が浮かんでいる。

桜の木々は深い緑色をした葉を生い茂らせている。




絵が、完成した。

青空を背景に、白いピンク色の桜の花が満開に咲いている。

それを見ているひとりの人。

私の大事な人。




あの告白から1ヶ月が経とうとしていた。

お互い避けているのか、、大嶋くんと帰り道に会うことはなかった。
いや、正確には姿は見たが、声を掛けることはなかった、だ。





絵が、完成した。

その課程と共に、私の気持ちも…



帰り道、大嶋くんの姿を見つけた。


伝えたい想いがあった。


「大嶋くん」
「…廣瀬さん」

大嶋くんから目をそらさず、ちゃんと言えたと思う。
「私、大嶋くんのおかげで、すごく楽しかった。大嶋くんから、いっぱい幸せな時間をもらったの」

やっぱり恥ずかしくて頬が熱くなってくるのが分かる。

「こんなこと、言葉にするの恥ずかしいけど、でも言わなきゃ大嶋くんに伝わらないから、言うね」

大嶋くんも目をそらさず、私のことを見ている。
「大嶋くんのおかげで、私の毎日はキラキラしてた。小さな事でも幸せを感じられた。絵も、大嶋くんのおかげで今までで最高の作品に仕上がった」
「…僕はなにもしてませんよ。作品が最高のものに仕上がったのは、廣瀬さんが頑張ったから…」「その頑張る力をくれたのは、大嶋くんなの」

大嶋くんは真剣な表情で私の話を聞いてくれている。


「大嶋くんがいるだけで…」



大嶋くんがいるだけで、私の世界は輝いた。


きっとこれからもそれは変わらない。



「だから、ありがとうって言いたくて」

「廣瀬さん…」


笑顔で、大嶋くんに言うことができた。

「ありがとう」







END



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 ゆう 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ