知ってるよ。
あなたが好きなあの人が
あたしなんかよりぜんぜん綺麗で頭も良いこと。
でもあなた知らないでしょ。
あたしはあなたが好きなあの人より
あなたのこと大好き。
――…?…――
『おはよう。』
今日も君がそうやって声をかけてくれるのを待ってた。
『お、おはよ。』
毎日、君の通るこの道を知っているから
あたしは早起きして、遠回りなのわかってて
わざわざこの道を歩いているのです。
『今日も早いんだな。沢木は。』
『そ、そんなことないよ。』
早いよ。
毎朝5時に起きて、朝から身支度大変なんだから。
『でもさ、前から思ってたんだけどさ、』
『ん?』
『沢木の家からこの道使って学校行くと、すげー遠回りにならん?』
やっと気が付いたか。
『そうでもないよ。』
『そうかー?なんか反対の交差点通った方が絶対早い気がするけど。』
『あ、あたしこの道好きなの!』
『なんで?』
鈍感男め。