◆東京都のとある高級マンション7階の部屋に桜井進(さくらいすすむ)と桜井優季(ゆうき)の夫婦が住んでいる。夫がいない部屋の中のリビング で優季がソファーに座りテレビを見ながら呆然としている。リビングのすみの方に設置されている棚の上には優季と進、そして二人の娘だと思われる少女の写った写真が写真立てに入れられ何枚も飾られている。優季の目はややうつろで唇が乾き切れている。そこへピンポーンという玄関のチャイムの音がリビングに響く。訪問者が来たようだ。優季はふらふらとしながらソファーから立ちテレビを消すと元気のない声で優季は「は〜い」といい玄関まで出ていく。 ◆優季がドアを開けるとそこにいたのは優季の幼なじみで親友の佐藤ともこだった。「ともこじゃない!」 「よっ★優季!遊びに来たよ。」「どうぞあがってあがって。」優季はぎこちない笑顔を精一杯作って見せる。優季はともこをリビングに案内しコーヒーを入れる。「優季とこうやって会うのもすっごい久しぶりじゃない?」とともこが元気よく言う。「そうね…」と優季がコーヒーの中に砂糖を入れ混ぜながら返事する。普段とは違う優季の様子にともこは気が付く。優季がともこにコーヒーをわたす。「どうぞっ。」「ありがと…」二人の間に沈黙の間が生まれる。ぼ〜っと棚に飾ってある写真を見つめる優季をともこはコーヒーを見ながらじっと見る。ともこに視線に優季が気が付く。「ともこ、どうかした?」 「ん?あ、いや…ねぇ、優季どうかしたの?なんか今日元気なくない??」 「そう…?別に私は…」「だって優季、私が来てもあんまり嬉しくなさそうだしぼ〜としてるし、無理と笑顔作ってない?」「そんなこっない!私は優季が来てくれて嬉しいし、無理して笑ってな…ん‥かない…」ともこの発言に対して反発する優季の目からぽろぽろと涙がこぼれ落ちる。「やっぱり、ともこには昔から隠し事できない…っつ。」震える声で言う優季の側に行き優季肩に手を置きともこが言う。「まったく、あんたは昔から強がりなんだから…何があったの?言ってごらん。」優季はこくんとうなずいた。