誰か、どうか、私が今、ここに居ても良いという証をちょうだい。
そう思っていた頃。扉の外にでられなかったあの頃。
誰かと繋がるだけで、自分の存在を確認していた。
その場だけでも必要とされていると思い込んで自分に存在価値を与えようとしていた。
扉の内側に足を踏み入れる。
もう一度、戻ってこられると自分に言い聞かせて。
「ごめんなさい、少しだけあなたと居なかった頃の私に会いに行きます。」
コーヒーはもう冷めてしまっているけれど、置き手紙が出来ない代わりに、とぷん、と音をたてて砂糖を落とす。
いってきます、の代わりに。