目を丸くさせるスティーブに、男性は落ち着いた口調で言う。
「…後ろだ」
…思わず振り返るスティーブ。
その瞬間、重い衝撃が彼を襲った。
「ぐぅっ…」
頬に走る痛みにスティーブは一瞬怯むが、次の瞬間には彼の強烈な拳が背後にいた男の顔面に命中していた。
「ぐぁっ!」
鼻から大量に流れ出る血をそのままに、男は床に倒れる…。
「ふっ、また来たぞ。逃げた方が良い…。走れ! 連中は俺が食い止めるからよ」
その男性の後方からは、三人のクローディアスのメンバーがスティーブを狙って向かってきている…。
「オッサン…。ありがとよ」
「ふふふ。早く行け」
スティーブは笑みを浮かべながら頷き、スーパーの中央ゲートに向かって走り出した。
(あのオッサン何者だ? 普通の人間には思えないな…)
…あの状況の中で、あの平然とした態度。
彼はあの男性を“ただ者では無い”と確信した…。
やがてスティーブはゲートを通過し、外の駐車場へと飛び出す‥が、しかし驚くべき物が彼の目に飛び込んでくる…。
「何?」
…目の前には一台の黒い車。
そして、その前では5人程の男達が横一列に並び、皆それぞれ拳銃の銃口をスティーブに向けている…。
急ぐ足を止め、思わず彼は呆然と立ち竦む…。
「ははっ、覚悟しろよ。スティーブン・ロジャース…!」
続く