知ってるよ。
あなたがすごくやさしいってこと。
でも、あなた知らないでしょ。
その優しさ、あたしはすごく辛く感じるってこと。
――…?…――
『Mr鈍感男の鈴木君には体当たりしかないって。』
『わかってるけど……』
わかってるよ。
だけど、きっと今あたしが何を言っても
鈴木君が泉先輩の事を想う気持ちは変わらないんだ。
『フラレたくないもん……。』
まだ、好きでいたいよ。
落ち込んでるあたしの髪が、ワシャッと誰かにつかまれた。
『わぁっ!』
『朝からジメジメしてんなぁ。』
髪をぐしゃぐしゃにしながらあたしをからかう声。
『ゆうたッ!?』
『おはよーさーん。』
朝からセットした髪が、寝癖よりもひどくなったのに
あたしの落ち込んでた気持ちは
なんでか晴れわたっていた。