吹雪ふぶいた森の中
兎は雪の つぶての ただ中を、こそこそ 跳ね跳び餌 捜す。
雪が視界を掻き消そうとも、兎は不安で仕方ない。
幾度 幾度も立ち止まり、幾度 幾度も耳 澄ます。
雪の つぶてが荒れ狂い、兎の耳にも毛皮にも、冷たく鋭い結晶 叩き着く。
吹雪ふぶいた森の中
兎は跳ね跳び餌 捜す。
雪が後から後から降りしきり、兎の足跡消してゆく。
兎は雪の つぶてに打たれながらも、狼 怖さに吹雪を進む。
吹雪 降り止み森の中
空は蒼く晴れ上がり、冬の太陽 燦々と、雪に比したら暑いほど、惑わぬ光を降り注ぐ。
狼 巣から出でまして、雪の香に鼻 澄ます。
平らな雪原ところどころに、小さな足跡、みぃつけた。
切羽 詰まった子りすか野兎か、間抜けな所業は命とり。
狼 雪の凹みに鼻先つけて、風の向こうに足跡の主、みぃつけた。
狼 雪 蹴り、今 行くよ。