隣の男の子 1章
暖かい休日の午後。
彼氏いない歴4年。
OL歴9年。
見た目はまあまあ。
そんな27歳の早川サツキは大きな物音で目が覚める。
(うるさいなぁ…。)
寝癖だらけの頭をポリポリとかきながらTVを無意識につける。
『ガタン』
どうやら隣から聞こえる…。
(あれ…?隣って空き家だったはずなのに…。)
サツキは様子を見に玄関の扉をそっと開けると、目の前に若い男の子が立っていた。
「!!」
サツキは驚いて思わず扉を閉めた。
(何で家の前にたってんの?!)
「あの〜すみませ〜ん。」
扉の向こうでさっきの男の子が呼んでいる。
サツキは慌てて髪を整え、カーディガンをはおり玄関を開ける。
「あの…。俺、隣に引越してきた狭山民生って言います。これ、良かったらどうぞ…。」
民生は引越しタオルをサツキに渡す。
「あっ…どうも…。」
(なんて爽やか…。)
サツキは思わず見とれてしまう…。
「あの〜。失礼ですが、お名前…。」
「えっ?あっ…あたしは早川サツキです…。」
「早川さんですね♪どうぞよろしく♪」
文句のつけようがない笑顔…。
サツキから見てだいぶ歳の差がありそう…。
すごく若く、肌も艶やか。大きな瞳…。
「こちらこそ…。よろしく。」
サツキは胸が高まった。
久々…?
いや、違う…。
初めて一目惚れをした。
多分、自分より年下と思われる男性に…。
『男性』と言うより『男の子』と言った方が合っている。
玄関のドアを閉め、床に座り込む。
ほんのわずかだが、サツキの心は『恋心』にかわってきている。
まだ何もわからない『男の子』に…。