その綺麗な女は店に入ると、店内を見回し、正志の隣の席へ座った。なんてラッキーなんだと彼は心の中で思った。そうだ話し掛けてみよう。でもどうやって話し掛けようか。正志は右手で持ってるグラスの中のトムコリンズを一気に飲み干した。
「お客さん、いらっしゃいませ。随分華やかになさってますね。お飲みものは?」
「モスコミュールをお願い。」彼女はバーテンにモスコミュールを注文した。
「ねぇ、あなた今日一人なの?」といきなり正志に話し掛けてきた。
「えぇ、まぁ。そちらこそお一人なんですか?こんな綺麗な方が金曜の夜に寂しく一人でバーで過ごすなんて何だかもったいない気がします。」彼女の前にモスコミュールが置かれる。それを手に取り一口飲み口を開いた。
「あら、そう思ってくれるなら私は幸せよ。良い?あなたと私の出会いは偶然なんかじゃなく、必然なのよ。」その言葉にびっくりした。彼は慌ててソルティードックを注文した。
「ちょっと待ってください。僕とあなたが出会うのが運命だと言う事ですか?もしかしてこの僕を口説いているんですか?」彼女は一呼吸置いて話し始めた。
「口説いている?あなたはそう感じ取ったかしら。まぁとにかく私はあなたの人生において重要な役割を持っているには違いないわ。」正志は少し疑うように、
「失礼ですが、あなたの名前は?」
「私の名前、知りたい?なら正直に教えるわ。かぐや姫よ。」正志はドキっとした。その言葉が信じられなかった。その時、あの老人の言葉を思い出した。
゛3つのキーワードがある。一つはかぐや・・・゛まさかと思った。
「私はこれから少しあなたと行動を共にしなければならないの。もし、今夜あなたが良いと言うならあなたの家に泊めてもらう事はできないかしら?」
正志はラッキーだと思ったが、その反面言い表せない不安が募った。
「確かにあなたはこれからの僕になんだかかの影響を与えるのかもしれませんね。少し、恐いですがあなたを僕の家に泊めましょう。」
そう言うと二人はグラスに入っているカクテルを飲み干し、店を後にした。そして正志の住んでるアパートへ向かった。・・・