ほんの小さな私事(102)

稲村コウ  2009-09-26投稿
閲覧数[367] 良い投票[0] 悪い投票[0]

私たちは、校舎二階の西側にある連絡通路から、体育館へと向かう事にした。
もう既に、昨日の事件の片付けが終わっていて、校舎北側にある渡り廊下から、体育館に向かう事が出来るようになっているので、そちらから体育館に向かった方が早く着く。
しかし私は、今朝、山下さんを見た辺りの様子を見てみたかったので、そちらを巡りつつ行く事にしたのだか、高野さんも、それに付き合うと言ってくれた。
更衣室は校舎一階の、下駄箱の隣にある。そこから階段を上り、二階の西側から連絡通路を経由し、図書館の二階へ。
途中、一応、連絡通路の窓から、下の渡り廊下を見てみたが、体育館へと急いで移動している生徒が、強い雨の向こうに見える他は、特に変わったものは見えなかった。
さすがにこの視界では、山下さんが渡り廊下を歩いていたとしても、それを判別するのは難しい。
故、私たちは、下の様子を少し見たのち、小走りに図書館の二階へと向かった。

図書館の二階は、特に用事が無ければ、開いている事は無い。
しかし…
「じゃあ、沙羅ちゃんがカズちゃん見たのって、この下の…。あれ?何か扉、開いてない?」
高野さんは、喋っている途中、二階の扉の所で立ち止まってそう言った。
「…本当…ですね。いつもは鍵が掛かっているんですよね?ここ。」
「うん。何かここにしまってある資料とか取りにくるとか、ここの会議室を使うとかなら別だけど…。こんな暗い中で、電気つけてないって事は、誰かが開けっ放しにしちゃって帰っちゃった、とかかなぁ?」
高野さんはそう言いながら、扉を少し開けて、中を覗き込んだ。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 稲村コウ 」さんの小説

もっと見る

学園物の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ