夕陽の空に。第一話

亜紀  2006-08-02投稿
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私には世界で一番、愛してる人がいる。
夕焼け空の様に、深く澄んだその瞳がいつも私のことだけを見ていてくれたなら。
その太陽みたいな笑顔が私だけに向けられていたなら。
貴方の愛が私だけのものだったら。

でも、
世界一愛してる人にとっての、『世界一愛してる人』は
私じゃない。

私はその人の代わり。つまり『代用品』なのだ。 夏と秋。その間にある、夜になればセミと鈴虫が一緒に鳴く夜。
そんな夏なのか秋なのか、どっちつかずな季節の中に、彼女なのかセフレなのか、どっちつかずな私がいた。
塾の帰りに友達の由佳里(ユカリ)とコンビニに寄った。
真っ先にアイス売場に向かうユカリを追いかけて行く途中、友達と三人、自転車でコンビニの前を通り過ぎる拓弥(タクヤ)の姿を見た。胸がきつく締め付けられるような気がした。
『コレコレ!このアイス!百個とか千個の中に一個くらいの確率で、フタのウラに赤い大きなハートがあるヤツがあるの!で、そのアイスにあたった人は必ず、片思い中なら好きな人と相思相愛に。両思いなら一生その人と幸せになれるんだって!!アタシ、これにする!麻智(マチ)は!?』 『あー アタシ、ダイエット中だから!また今度で!』 『相思相愛』
☆→←★
お互いが相手の方を向いている。矢印にすればこういうことだ。 ☆→★→→◎
アタシ達の場合はこうだ。
『一方通行な片思い』。でも、純粋なソレでもない。 アタシ達の関係は一体なんなんだろう。
『相思相愛』
その言葉が心の奥に重く響いた。



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