俺らのデビュー曲は
初登場4位と好調な滑り出しをみせ
俺らはますます忙しくなった
ゆかと初めて会ったあの日から
相変わらず手紙は耐えなかった
俺はひまをみつけては
大阪へ向かった
それは月に一度だったり
週に一度だったり…
突然やってくる俺を
ゆかはいつでも歓迎し
俺らはますます親しくなった
愛の病室でゆかを待っているときに
偶然出くわした愛の母親とも
知り合いになった
まあ挨拶する程度だが
『しごと たいへん?』
ゆかと親しくなり
気付けばあのメモ帳は
滅多に登場しなくなった
言いたいことがあると
彼女は俺の手をとる
俺も手を素直に差し出し
彼女は手のひらに文字を
一文字ずつ書く
彼女の指からも
優しさが伝わってくるようで
彼女への愛しさは増す
「うん、そうだね
でもゆかの顔をみたら
ほっとする」
彼女は嬉しそうに笑って
『わたしも』
と返してくれた