チンゲンサイ。<21>

麻呂  2009-09-28投稿
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* * * * * *

それから数時間経っても、ユウは帰って来なかった。


『あなた、もう11時ですよ。

あの子、どこをほっつき歩いているのかしら。』


ユウが家を飛び出してからずっと、時計とにらめっこをしていた妻は、


次第にオロオロし始めた。


『ちょっと煙草を買って来る。

ユキエ。君はもう休みなさい。

ユウの事は心配ないよ。

なぁに、明日になれば帰って来るさ。』

昔から、心配性で神経質な妻を、


ひとまず落ち着かせようと思って、言ったつもりなのだが、

やはり妻は潔癖症だった。


『放っておける訳ないじゃない!!

あの子は、本当は素直で優しい子なのよ!!

あの子が突然、あんな風になってしまったのは、一体誰のせいだと思っているのよ!!』



『俺のせい‥‥か?!』


独り言の様につぶやいた俺に、


妻からの返事は無かった。


煙草を買いに行くなんてのは口実で、


本当は、ユウを探しに行こうと思っていた。


いくら中学生の男の子だと言っても、


親から見れば、まだまだ子供。


俺は、ユウが行きそうな場所を考えながら、


妻の愛用のママチャリで、


全力疾走する事に集中していた。



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