「すっげぇ…」
武雄が呟いた。
僕ら3人は朽ち果てた門の前で
朽ちてなお気品を保つ洋館に圧倒されていた。
「…中に入れないかな?」
この洋館に一番興味を示したのは亜季だった。
亜季は返事も待たず真っ直ぐ扉に向かって歩き出した。
「あっ…亜季」
扉は人を拒絶するかのように固く閉ざしていた。
「うぉっ!?」
扉の脇にある窓を覗き込んでいた武雄が
いきなり尻餅をついた。
「ンだよ…脅かすなよ」
亜季は武雄が覗き込んでいた場所を見ている。
「いゃ…今、変な仮面した奴がいた気がしたんだよ…」
「はぁ?」
中を見ていた亜季が
「ねぇ…仮面ってあれ?」
室内の壁を指さしている。
武雄がすぐに駆け寄った。
「いや…あれじゃない…」
武雄は一人で裏の方に走っていった。
残された亜季と僕は互いにやれやれと苦笑いをして後を追った。
「おい!ここから入れそう!!」
洋館の裏側が見えてきたとき、武雄が崩れた壁の瓦礫を登り中に入るのが見えた。
「…まったく」
「いつもこうだよね…」
「そうだな…」
武雄の暴走に呆れながらもあとに続き僕らも中にはいった。
ここは誰かの部屋だったのだろう。
朽ちてボロボロのソファーや壊された家具が転がっている。
…ズズッ
「武雄〜?」
「あっちの方からみたいだね?」
音のした方を見る。
入り口は扉が床に落ち、筒抜けになっているが真っ暗でよく分からなかった。
「行ってみるか…」
行ってみるとそこは瓦礫の山で何があったのかすら分からない状態だった。
慎重に進んでいると何かを引きずったように瓦礫が無くなっている所があることに気付いた。