僕の左側では、秀明とライアンが戦っている。
そして、目の前では…。
「ジョージ…。あの日の事覚えてる?私が交通事故で死んだ時、ここまで(閻魔界)案内してくれたのはジョージだったね…。」
めぐみさんは何やら思い出話をしてる…。
それを黙って聞いている死神…。
「ジョージがまさかそうゆう人だったなんて知らなくて、びっくりしちゃった♪」
笑顔で話すめぐみさんだが、どことなく寂しい表情…。
「………ごめんね、ジョージ。あなたに愛されたのは、すごく嬉しかった。ジョージにまた逢えて嬉しかった。私は…生まれ変われるのなら、またジョージに愛されたい…。」
そう話し終わると、一本の矢がめぐみさんの胸を突き刺す。
死神が持つ鎌は地面に落ち、消えかかるめぐみさんを抱きしめる。
僕は…胸が張り裂けそうに痛い…。
「め…ぐみ…。」
声にならない死神の呟きは、次第に涙声に変わる。
「ケルベロスを捕らえなくてよか…った…。」
白い光と共に、めぐみさんは消えた。
死神は…めぐみさんを愛していたんだろう。
地面を何度も叩く死神の姿が、すごく切ない…。
『所詮ハ死人…。死神ノ女ヲ使ッタノガ間違イダッタカ…。』
声はするが、姿が見えない。
「誰だ!!」
周りを見渡しても、なにもない。
気が付けば、ライアンと秀明の姿もない…。
「ハーン!!上見て!!」
上を見上げると、秀明がライアンを抱えこっちを見下ろしている。
『バカナ連中ダ…。私ノ正体モ マダワカラナイママダロウ…。』
秀明も、何者かに操られている…。
秀明が喋っているが、秀明の声ではない…。
『コレカラモット苦シム事ニナル…。ケルベロス…。イズレオ前モ…。』
そう言い残し、姿を消した。
黒幕はもう、僕らの前まで来ている…。
ライアンもさらわれ、
奈々ちゃんは怪我をし、
死神は泣き崩れ…。
「ハーン…。」
不安な顔をして、エリンが僕を見る。
「エリン…。俺達で、何とかしよう…。」
ギュッと手を握り、エリンを見つめた。
エリンは笑顔で、
「みんなを助けようね!」
と答えた。
僕らは、王の城へ乗り込む事を決心した…。
6章 終り