捻挫の処置を終えた幸輔は、優太が心配だった。
保健室の神山先生も何だか様子がおかしかった。
「どうなってるんだ…。」岩塚先生が来てから、幸輔に対するいじめもなくなった。
保健室を出ると、優太がいた。
「あっ。幸輔。大丈夫だった?」
「うん。」
「じゃあな。まだ体育だから。」
「あっ。まだ体育か。」
体育が始まってすぐ、幸輔はケガしたので、ものすごい時の流れが遅いように感じた。
放課後、幸輔は1人、ある人のもとへ向かっていた。そう、香山先生の家だ。
何か、力になってくれるかもしれない。
話だけでも、聞いてくれるかも知れないと思ったからだ。
桜井中学校のすぐ近くのアパート。
木造2階建て。幸輔は古びた階段を上がった。
「ここだ…」
2階の1番奥の部屋。表札を確認すると『香山』とかいてある。
インターホンを押そうとした。その時、
「あっ…」
「香山先生…」
なんと先生が階段を上がってきた。
「どうした?」
「ちょっと…お話いいですか?」
幸輔は、決断した。
香山先生にもう一度協力してもらおう。
…また、もとの状態に戻ろう。