夕陽の空に。第三話

亜紀  2006-08-02投稿
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タクヤとサキは幼なじみで、家族ぐるみで付き合いがある。その上、家は隣同士。 普通、そんな二人は当然のように恋に落ちる。相手がサキじゃなかった場合は。 皆に好かれてるサワヤカ系スポーツ青年のタクヤと、
悪い噂が耐えないヤリマン性悪女のサキ。
一見正反対で、関わりなんて一切無いように見える二人の間には、見えないけど深い絆がある。 それだけでも、アタシの心は嫉妬の炎で燃え盛るっていうのに、その上アタシの愛するタクヤはサキに心の底から惚れているのだった。

家で寝る前にケイタイを開いたら、タクヤからメールがきていた。
『明日、ウチ来るだろ?』
行くよ。分かってるくせに。アタシはタクヤの誘いを断ったコトなんて一度もない。おかげで毎週、水・金曜日はいつもタクヤのために空けてある。

『行くつもりだけど?』
『そっか。じゃ、いつもの時間で。』

メールの内容はいつも決まってる。相手の気持ちを確かめるための、うわべだけの確認メールだ。

明日はいつもどおり、友達には習い事だと言って、タクヤの家の、タクヤの部屋の、タクヤのベッドで、Hするのだろう。
アタシはタクヤのコトを思いながら。タクヤは振り向いてはもらえない、サキのコトを思いながら。
アタシ達は正式に付き合ってはいないから、アタシはそれでもタクヤに何も言えない。
そんな、宙ぶらりんな関係が、もう一年くらい続いてる。
このままじゃ、一生タクヤの本命に成れないことは分かってる。
でも、アタシは明日、タクヤの家へ行く。
その時間だけは、Hのその瞬間だけは、タクヤはアタシだけを見てくれる。
その瞬間だけは、タクヤはアタシだけのモノ。
そう、思えるから。


たとえ、心のなかでは、サキのコトだけを想っていたとしても。

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